大学内に緩和ケア講座が必要

緩和ケア,放射線治療ともに,広義のガン治療の枠組みに組み込まれる必要がある.

 参院予算委員会は16日、2006年度予算案に対する公聴会を開き、公明党推薦の中川恵一東京大学医学部付属病院放射線助教授・緩和ケア診療部長ら6人の公述人の意見陳述と質疑を行った。

 加藤氏は、公明党が法制化をめざすがん対策に関連し、多くの先進国が実施している「がん登録制度」の意義について質問した。これに対し中川公述人は、がん登録による情報の蓄積で、がんの種類や進行度などに合った適切な治療法が導きだせるようになるとし、「がん対策法の柱として取り入れてほしい」と強調した。

 また加藤氏が、日本の放射線治療専門医の不足で解消策を聞いたのに対し、中川公述人は「現在、放射線科の教授職(の専門)はほとんどが“診断”で、放射線治療をやりたい人がいてもボスが不在」と指摘し、先進国と同様に放射線診断と放射線治療に明確に分離すべきと強調。併せて「報酬面を含めて道筋をつける政治的判断があってもいいのではないか」と述べた。

 さらに加藤氏が、患者の痛みをコントロールする「緩和ケア」が日本で立ち遅れていることについて対応策をただしたのに対し、中川公述人は、「医学部の教育の中に、緩和ケアの講座を作ることも含め、がん対策法(の法制化)の中で議論いただきたい」と述べた。