ル・グウィン原作のゲド戦記,ジブリが映画化.

当事者意識の欠如は,本当に深刻になっていると思う.もちろん自分も含めてだけれど.

ゲド戦記」で描きたいこと。


20060208_suzuki_02.jpg――最後に、鈴木さんが今、この時代に「ゲド戦記」を送り出そうと思ったきっかけを教えて下さい。


鈴木 一言で言えば、希薄になってしまった「現実感」を描けるような気がしたからです。


――「現実感」?


鈴木 日本人全体が陥っているかも知れないことですが、当事者意識の欠如ということです。この前の選挙で、郵政民営化を賛成か反対かを一人一人の国民に問いましたが、果たしてそんな必要があったのか。それは、会社がつぶれそうかという時に、社員に「どうしましょうか」と聞くことでしょう。同じように、憲法改正増税についても賛成が増えている状況も疑問です。僕はそれを見て、皆、庶民でなくなってきているなと感じます。この国を何とかするためにそれをやるという発想は、庶民じゃなくて為政者でしょう。国がやることにたて突くのが庶民じゃなかったんですか。増税して改憲して、それが何につながるか。「欲しがりません勝つまでは」ですよ。だから皆に目を覚まして欲しいし、小泉内閣の虚像をはがして欲しい。増税になって一番困るのは誰か分からない状態が、僕の考える当事者意識の欠如ということです。吾朗君は「人としてまっとうに生きること」をテーマにしていますが、それも当事者意識ということとつながってくる。まぁこれは作品を通して彼が表現していくことなので、このくらいにしておきますが。